「高校でも今の部活で活躍したい!強豪校も候補に入れているけど、強豪校ってどんなところなのか一度知りたい」
「勉強を優先して進学校に進むか、部活を優先して強豪校に進むか迷ってる。。判断するために一度強豪校がどんなところか知りたい」
「強豪校からオファーが来たけど、地元に残りたい気持ちもあるし。。強豪校がどんなところか一度詳しく知りたい」
そんな想いを抱える中学生や保護者の方々もいるのではないでしょうか。
筆者は陸上の強豪校出身ですが、全く自分に部の雰囲気が合わずやる気をなくしたり、厳しい練習に苦しんだりと非常に辛い高校生活を送りました。
毎日部活を辞めたいと思っていましたが、スポーツ専願で入ったため辞めることができませんでした。(筆者の高校のスポーツ専願は3年間部活を継続するという契約のもと入学するという決まりになっていたので、部活を辞めると学校も辞めなければなりませんでした)
「中学生の段階で、もっと強豪校について詳しく知っていたら、高校選びに失敗しなかったのではないか・・・」と思うことが何度もあります。
なので、これから高校選びをする中学生や保護者の方々には、できる限り失敗してほしくないと思うのです。
もちろん、強豪校が適している人も多くいるので、強豪校が絶対良くないというわけでは全くありません。
「進んだ先の環境が自分に合わないため環境を変える」となると、退学し別の高校に入り直さなければならないので大変なんですよね。
なので、できるだけ部活での高校選びには失敗しない方がよいです!
この記事では、部活の強豪校に進むメリット・デメリットや、強豪校に向いている性格などを解説しています。
運動部だけでなく、吹奏楽部など文化部の方にも参考になる記事となっていますので、ぜひこの記事を読んで、満足のいく高校選びを叶えてくださいね!
部活での高校選びとは?
高校受験の際は、通いやすさ、校風、自分の学力に合っているかなど様々な点を考慮して受験する高校を決めると思います。
「部活での高校選び」とは、高校生活で部活にのめり込むことを第一に考えた高校選びのことです。
それなりに競技レベルの高い人が行う選び方ですね。
強豪校に進む場合が多いですが、自分の競技レベルに合っているからといって一般校に進むケースもあります。
「部活での高校選び」は、学力や地理的な事情を踏まえると以下の4つのパターンがあるでしょう。
- 強豪校に進もうと考えていて、その中でどこに行くか迷っている場合
- 勉強を優先して進学校に進むか部活を優先して強豪校に進むか迷っていたが、強豪校に進むことを決めた場合
- 通いやすさを優先して地元に残るか部活を優先して強豪校に進むか迷っていたが、強豪校に進むことを決めた場合
- 部活で活躍することを第一に考えた高校選びで強豪校か一般校どちらに行くか迷っている場合

これらのパターンのように少しでも強豪校受験を考えている方にとっては、これから先の内容はとても参考になると思います!
また、すでに強豪校受験を決めている方にとっても、「自分は非強豪校向きだった」と気付くきっかけになるかもしれません!
強豪校に入るメリット
強豪校に入るメリットは、下記の5つです。
以下で詳しく見ていきましょう。
質の高い練習ができる
強豪校が強豪校である理由は、言うまでもなく練習の質が高いからです。
したがって、強豪校に進むと質の高い練習ができるため、競技力を大きく伸ばせる可能性が高いです。(絶対とは言えません。逆に伸びなくなる選手も少なからずいます。)
大きな大会を経験できる
強豪校に入ると、大きな大会を経験できる可能性が高まりますが、その理由は2つあります。
強豪校には優秀な選手が多く集まるため、サッカーや野球、リレーなどの団体競技では県大会で上位に入ることが容易になります。その結果、関東大会などのブロック大会や、全国大会への出場権を獲得できる機会が増えます。
また、強豪校では質の高い練習を行うため、競技力を大きく伸ばすことができます。すると自ずと、個人・団体問わず県大会で優秀な成績を収めることが多くなります。その結果、ブロック大会や全国大会の出場権を獲得できたり、都道府県の代表や国際大会の日本代表に選ばれる可能性が高くなります。
また、万が一自分が(補欠含め)出場メンバーに入っていなくても、付き添いや応援などで大きな大会についていけることもあります。
応援含め大きな大会を経験することは、選手としての自分を一回り成長させ、自信になり、そして人生の宝物になるでしょう。
部活の推薦で大学に進学できる可能性が高まる
強豪校に進むと、県大会で上位に入れたり、それより上の大きな大会(関東大会などのブロック大会や全国大会)に出場できたりすることが多くなります。
また出場していなくても、強豪校では大きく競技力を伸ばすことができるため、陸上などの記録を計測する競技では良い記録を出せる場合が多いです。
(例えば100m10秒台、5000m14分台など)
そして大学のスポーツ(特技)推薦入試を受けるには、(大学によって多少異なりますが)おおむね以下のような条件があります。
- 全国(ブロック)大会に出場している
- 県大会ベスト4(8,16)以上を経験している
- (陸上の場合)5000mで14分45秒未満の記録を所持している など
したがって、強豪校に入り県大会入賞や全国大会出場などの実績を作っていると、大学に部活の推薦で進学できる可能性が出てきます。
また、強豪校に入ると部活の推薦で進学するチャンスを得やすいのにはもう1つ理由があります。
それは、強豪校の監督はその競技の世界で名が知れている場合が多く、それにより色々な大学との繋がりがあるからです。
(野球部の事例ですが、強豪校野球部員のスポーツ推薦入試による進学先決定のメカニズム(栗山 2017)もご参照ください。)
進みたいと思っている強豪校の監督がその競技の世界で有名であれば、自分自身を色々な大学の監督に紹介してくれるかもしれません。
そうなると、スポーツ(特技)推薦入試に合格する確率も大きく上がるでしょう。
以上から、強豪校に進むと、部活の推薦で大学に進学できる可能性が高まります。
自分の競技について多くのことを学べる
強豪校は全国の上位を目指して日々練習に励みます。
よって、強豪校に入ると競技力を向上させるためのノウハウをたくさん学ぶことができます。
効果的な練習法から動きの理論、食事の摂り方、疲労解消法、パフォーマンスに対する心理面の影響、不振の原因まで、自分の競技に関する多くのことを学ぶことができます。
これらの知識は、高校卒業後も競技を続ける場合、自分の競技生活に大いに役立つでしょう。
自分の競技の有名選手や有名人と接する機会が増える
強豪校にいると、自分の競技の有名選手や有名人に出会えるチャンスが増えます。
その理由は主に3つあります。
実際筆者も、インターハイにて、監督の教え子繋がりで陸上北京五輪代表の塚原直貴選手に会ったことがあります(会話はしていませんが)。
また、講演会で陸上北京五輪代表の朝原宣治選手に会ったこともあります。
有名選手や有名人と接触し、話を聞いたりコミュニケーションを取ったりすることは容易ではありません。しかしもしできたなら、これまでにない考え方を知ることができ、自分を大きく成長させるきっかけになるかもしれません。
強豪校に入るデメリット
強豪校に入ることには、次のようなデメリットもあります。
以下で詳しく見ていきましょう。
レギュラーになるのが難しい
強豪校には自分以外にも優秀な選手がたくさんいるので、レギュラーに入るのが難しいです。
陸上などの個人競技でも、公式戦(高校総体や新人戦など)で学校の代表に選ばれない可能性が高くなります。

私が高校生の頃も同期に、中学時代3000mで全中に出場したものの、高校時代は同期や後輩に勝てず、3年間で1度も公式戦を走ることができなかった人がいました。
逆に、強豪校というレベルの高い環境で代表に選ばれたなら、相当な力がついている証拠ですね。
確実にレギュラーに入りたい場合は、強豪校にこだわらず競技レベル的に自分より劣る学校に進むことをおすすめします。
練習や日常生活を厳しく見られるためストレスが多い
強豪校に入ると、練習はもちろんのこと、日常生活も厳しく見られます。
練習に関しては例えば、(サッカー部の場合)練習中シュートを外してしまうと先生や部員から厳しく怒られたり、(陸上部の場合)設定タイムを切れないと、先生や先輩から叱責される、などが挙げられます。

私も、「今日はアクティブレストだ♪」と思って気楽でいたら、アクティブレストのジョグ中に接地についてうるさく言われ、「アクティブレストの時も辛いじゃん…」と思ったことがあります(笑)
また日常生活に関しては、廊下ですれ違った時の挨拶が良くないと指摘されたり、授業中の居眠りやテストの赤点について注意されることがあります。
その他、体を絞ることを目的としたお菓子や炭酸飲料の摂取禁止、故障者の休日の外遊び禁止などのルールが設けられている場合があります(後者に関しては故障者は遊びに行くのではなくケアをしたり筋トレをしたりして練習できていない分のカバーをしろという意味からきています)。
このような日々を送ると、ストレスが多くなります。
やはり全国の上位を目指すためには細かいところまで厳しくなる必要があるため、ストレスが多いのは当然ではあります。
「それを覚悟のうえで入るんだ」という方は問題ありませんが、全国の上位を目指すことよりも日頃のストレスの少なさを優先したい方は、非強豪校に進んだ方がよいでしょう。
部内に素行の悪い人がいる可能性がある
自分のやっている競技で強豪校に進む人は、言うまでもなく中学時代に優れた成績を残した人達です。
しかし、そのような人達の中には、学力があまり高くなく、部活の推薦で進学した方が高校の選択肢が増えるような人もいます。
そして学力の低い人の中には、素行の悪い人がいます。
そのような人と同じチームだと、自分が嫌がること(いじめや窃盗など)をされストレスを感じるようなことも多くなるかもしれません。
(事例:人を大事にすることへの想い│アカデミックファクトリー
スポーツ推薦でもし退部したらどうなる?経験と対処方法│楽の気持ち
もしそのような被害にあった場合は、信頼できる同期や先輩、大人(親や先生など)を味方につけて対応しましょう。
誰にも報告せずになかったことにしてしまうと、自分自身が悔しいだけですよね。
これまで周りに報告したケースでは、その後調査などがなされ、最終的に被害者を守る適切な措置がなされています。
学校生活で、素行の悪い人と関わりたくない場合は、進学校に進むことをおすすめします。
部内でいじめが発生する可能性がある
部内に素行の悪い人がいる可能性があるとも関連しますが、強豪校では、部内でいじめが発生する場合が多いです。
(参考:サッカー強豪校の熊本・大津高校でいじめ 当時1年生の部員を全裸で土下座させ撮影 「重大事態」で第三者委が調査へ
秋の高校野球宮崎県大会でベスト4進出の小林西高校野球部でいじめが発覚 出場を辞退
《重大事態》磐田東高校・剣道部いじめ事件に管轄の静岡県教育局「速やかに確実に調査を」被害者の保護者が心境吐露
スポーツ強豪校っていじめが多いの?|ママスタ)
理由はいくつかあります。(参考:日野ら 2020、久保田 2020)
- 厳しい環境でストレスが多くなるから
- 上下関係が厳しくなる(先輩と後輩の関係が斜めの関係ではなくきっちりとした縦の関係になり、先輩の言う事には絶対に従わなければならないという風潮が形成される)ことによって、上級生が下級生に対して力を濫用しやすい状況になるから
- 高い目標を達成するためにチームの団結性が高まり、その結果チームが向かう方向とは別の方向を向いている人が逸脱者として見なされてしまうから
- 素行の悪い人がいる場合が比較的多いから
ストレスの捌け口として、誰かがいじめの標的になる場合があります。
また、部内に素行の悪い人がいる可能性があるでも解説しましたが、強豪校にはスポーツはできるものの学力が低くかつ素行の悪い人がいる場合が比較的多いです。
そのような人がいじめに走ることも少なくありません。
これらの要因が複合的に絡み合うことで、強豪部内でのいじめは発生するのだと思われます。
(例えば、1人別の方向を向いているだけではいじめは起きないが、ストレスが多いときにそのような状態だと発生する、など)
もしいじめにあった場合は、親や先生など周囲の信頼できる大人を味方につけて対応しましょう。
ただ、逆に強豪校でないからといって部内でいじめが発生しないとは限りません。
偏差値の低い高校では発生しやすいかもしれないので(参考:ネットいじめの構造と学力との因果関係│研究活動紹介)、できるだけいじめを回避したいなら進学校に行かれることをおすすめします。

「学校の偏差値といじめの発生率は関係がない」という意見や報告もありますが、私の経験ではやはり学力といじめの発生率は関係があると思います。
私が高校生の頃も、学力の低いクラスではいじめは発生しやすかったですし、生涯通して考えても学力の低い人ほどいじめに走りやすかったですね。
部活で忙しくなるため他のことに時間が割けなくなる
強豪校は朝練を実施している場合がほとんどです。もちろん夕練もあるため、早朝から夜まで学校に拘束されることになります。
また、練習以外の時間も体のメンテナンスとして温冷浴や整体に行ったりしなければならず、スケジュール的にも年間通して大会や合宿がたくさんあるので、部活以外のこと(勉強や遊び、恋愛、アルバイトなど)に時間を割けなくなります。
恋愛に関しては、恋愛禁止の取り決めをしているところも少なくないと思います。
また、「部活中心の生活」という雰囲気や文化が、部員をそれ以外のことに走らせなくしている部分もあるでしょう。
部活漬けの生活になりたくない、勉強など他のことも頑張りたいという方は、それができる高校に進むことをおすすめします。(勉強に関しては強豪校であっても両立できるところもあります。)
親元を離れて生活することになる可能性がある
部活の強豪校は各県に2〜3つほどしかないため、強豪校が実家の近くにあることは稀です。
そのため、家から通えない人は基本的に寮生活になります。
ただし、兄弟など家族が高校の近くに住んでいる場合は、そこから通うということも可能でしょう(下宿)。
学校によっては、下宿が禁止されているところもあるかもしれません。
親元を離れて生活することには、不安や寂しさ、不便さも多いでしょう。
寮生活では、基本的に(学校によっても異なりますが)携帯の使用禁止、朝の掃除、相部屋などのルールがあります。
これらのルールは自分の自由を奪い、ストレスを与える部分も多いかもしれません。
しかし、規律のある生活によって自分自身を鍛えられたり、集団生活の中で社会性が身に付いたりと、良い面もあります。
また、寮生活の最大のメリットは、学校への通学時間を無くせることです。
朝は朝練開始ギリギリまで寝ていられますし、夕練後は即座に帰宅することができます。
通学生より夕練後の自分の時間を長く持てることも、寮生活のメリットでしょう。
以上から、強豪校に進むと、通学の関係で下宿や寮生活になる可能性が高まります。
知り合いが少ない可能性がある
強豪校が実家の近くにあることは稀なので、強豪校に進むと地元を離れなければならない場合が多いです。
そうなると、高校に中学時代の知り合いが少なく、入学時に友人関係で苦労するかもしれません。
とはいっても、すぐに新しい友人を作ることができれば問題ないです。
強豪校に向いている人の性格
強豪校に向いているのは、下記のような性格の人でしょう。
逆に下記のような性格の人は、向かないでしょう。
強豪校では、練習がハードで手を抜くことができません。さらに、色々な点で厳しく指導されるので、辛い思いをすることが多くなります。
そのような環境では、上記の不適性気質の人は、不安や恐れで心がいっぱいいっぱいになってしまい、意欲どころではなくなってしまう可能性が高いです(目標を考えてそれに向かって努力しようと思えるだけの心の余裕がなくなり、心理的に自分の身を守るモードになる)。
筆者もそのような状態でしたし、他の部員を思い返してみても、大人しく、不安の強い人ほど伸びなかった印象があります。
逆に上記の適性気質の人は、厳しい練習や指導をあまり恐れない傾向にあるので、心に余裕を持つことができ、厳しい環境でも意欲を無くさず競技に取り組んでいくことができるでしょう。
上記の不適性気質の人は、たとえ高校生活で部活にのめり込みたいと思っていたとしても、非強豪校をおすすめします。
そちらの方が、結果的に意欲を持って競技に取り組むことができ、楽しい競技生活を送ることができると思います。
筆者も、自分に合った環境なら、大会での目標なども考えながら、充実した楽しい高校競技生活を送れたのではないかと思うことが何度もあり、後悔しています。
ただ、不適性気質でも全ての強豪校で向いていないとは言えないですし、強豪校の中でも準強豪レベルなら適応できる可能性は十分にあります。
準強豪校‥県大会ベスト4以上の常連だが全国大会出場は稀な高校(本記事での定義)
ぜひしっかり検討して、高校を選んでくださいね。
【まとめ】強豪校にこだわる必要はない
いかがでしたでしょうか。
強豪校に進むことには誰しも憧れると思いますが、意外とデメリット(闇の部分)も少なくないのです。
筆者についてはご承知の通りですが、筆者の後輩も、入学前は「絶対にあそこに行きたい!!」と張り切っていましたが、卒業後再開した時に「絶対あんなとこ行かない方がいいですよね」と言っていました(笑)
筆者の同期も、母校に進んだことに対して非常に不満そうでした。
全国大会出場よりも自分が試合で活躍することを望んでいるなら、全然非強豪校でもよいですし、全国大会出場を目標にしている場合でも、陸上などの個人競技なら非強豪校でも十分達成可能です。
東京五輪陸上男子100m代表の山縣選手(修道高校)や多田選手(大阪桐蔭高校)もその1人ですね。
しかし、だからといって絶対強豪校が良くないというわけではありません。強豪校が合っている人もたくさんいますし、競技に専念する高校生活にしたいなら、強豪校に進むのが自然な流れでしょう。
失敗しないようにぜひしっかり考えて、高校選びを行ってくださいね!
部活での高校選びに失敗しない方法は部活での高校選びを成功させる方法や失敗した際の対処法を一挙解説!の記事でも解説していますので、必要な方はそちらもご覧ください!
皆さんが満足のいく高校選択ができるよう願っております!
参考文献
久保田真功(2020)部活動におけるいじめはなぜ起きるのか?ー大学生を対象とした回顧調査をもとにー.教職教育研究 : 教職教育研究センター紀要,25,49-63
栗山靖弘(2017)強豪校野球部員のスポーツ推薦入試による進学先決定のメカニズムー部活を通じた進路形成と強豪校の存立基盤ー.スポーツ社会学研究,25(1),65-80
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